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第1章 ラベリングマシンとは

当社は1968年創業以来、これまでに3500台を越える製品を世に送り出してきた。私は、「ラベリングマシンが国内をはじめ、世界に受け入れられてきた技術的な背景がどこにあるのか」、「その技術が、どのような発想によって生み出されてきたのか」について、歴史的にたどりながら出願特許を中心に明らかにしようと考えた。現在、当社会長である山下經一(やましたきょういち)は、創業者であり、ラベリングマシンの発明者であり、開発者でもある。ほぼ全ての発明を行い、実際に機械を製作し、特許出願を行っている。国内での特許出願数は258件で、海外では63件、全特許出願総数は321件にも上る。その発明の「内容」と「ねらい」を系統的に整理し「特許にみる光洋技術の歴史」として、創業からの「できごと」と合わせた年譜を表にした。

生産ラインのラベラー

ラベリングマシンとは文字通り、容器や箱などにラベルを貼り付ける機械である。食品や飲料、医薬品など多くの製品にラベルが貼り付けられている。
ここで採り上げるラベリングマシン(以下、ラベラーと呼ぶ)は、工場の生産ラインに設置される容器の滅菌装置や充填機、容器検査機、キャッパーなどの大型の生産設備の一環をなすものである。

ラベルの役割

ラベルは、もとより商品の顔(イメージ)として売れ行きに大きな影響を与える。また商品の品質、生産年月日、原材料名、成分等、重要な商品の情報を消費者に提供し、消費者が商品を選択する判断材料になる。
特に医薬品では、人の生命に関わる薬品名や成分を表示し、極めて重要な役割を果たすものだ。そのため異種ラベル混入の検査や、ラベル印字検査など数多くの検査を経て、はじめて最終製品とされることになる。

ラベラーの分類

供給ラベルの様式による分類

ラベラーは、供給ラベルの様式から以下の3つのタイプに分類される。
第1は、枚葉(カットラベル)ラベラー(ホッパーラベラー)である。既に一定の形に切断された大量のラベルをラベルホッパー(あるいはラベルマガジンとも呼ばれる)に収容し、そこからラベルを取り出してラベルを供給し、ラベルを容器に貼り付けるものである(以下写真)。

第2は、ロールラベラー(全周巻きラベラー、シュリンクラベラーも含む)である。ロール状に紙管に巻かれた一定の直径のテープ状ラベルを、一定の長さに切断して供給し、容器にラベルを貼り付ける。すなわち枚葉ラベラーにはなかったテープ状ラベルを引き出す工程と、そのテープ状ラベルを切断する工程が加わることになる。(以下写真)。

第3は、タックラベラー(シュリンクタックラベラーも含む)である(以下写真)。タックラベルとは、テープ状台紙にあらかじめ形抜きされたラベルシールが貼り付けられているものである。そのテープ状タックラベルが紙管に巻かれた一定の直径のロールタックラベルから、ラベルシールを剥離してラベルを供給し、容器にラベルを貼り付ける。いわば枚葉ラベル(カットラベル)をテープ状にしてラベルを供給するという枚葉ラベラーとロールラベラーの折衷形とも言うべきものだ。ロール状タックラベルを繰り出す工程と、ラベルを剥離する工程を有することが特徴である。

貼り付け(定着)様式による分類

①ラベルを容器に接着剤で直接貼り付ける様式
この様式は2つの方式に分類される。その1つは、ラベルの裏面に接着剤を塗布して容器に貼り付ける方法である。もう1つは、あらかじめラベルの裏面に熱活性化接着剤や水活性化接着剤を塗布してあるラベルの接着剤を活性化させて、容器に貼り付ける方法である。

②容器にラベルを装着し容器の形状に合わせてラベルを密着させる様式
代表的な例として飲料のPETボトルに、その形状に合わせて密着して装着されているラベルを思い起こしてほしい。その1つはシュリンクラベラーである。

あらかじめ筒状に形成されたラベルを容器に装着し、加熱装置(スチームトンネルやヒートトンネル)を通過させてラベルを収縮させて、容器の形状に合わせて密着させる。この方式では、ラベラー内でテープ状ラベルを筒状ラベルに成形する工程を加えて行う、シュリンクラベラーも実用化されるようになった。また、容器の頭部を押さえつけるボビンとその容器に合わせて、シュリンクタックラベルを筒状に巻き付けて熱収縮させて容器に密着させる、シュリンクタックラベラーも開発されている(以下写真1枚目)。

もう1つはストレッチラベラーである。これは、あらかじめ筒状に形成されたラベルを使用する点ではシュリンクラベルと同じである。だがストレッチラベルは伸縮性のラベルであり、ストレッチユニットによって機械的にラベルを引き伸ばして容器に挿入し、ストレッチユニットを引き抜くことでストレッチラベルが収縮し容器に密着・定着する。
近年、伸縮性の高いラベル素材が開発され、凹凸の大きい容器にも使用されるようになってきている(ドイツのクロネス社、以下写真2枚目)。

以上のようにラベラーと一口で言っても、多様なタイプの多くの機種が市場に投入されている。その対象容器の特性やラベルデザイン、機種における優位性、コストパフォーマンスなどから使い分けられているのが現状である。例えば多品種・少量生産には枚葉ラベラーであり、少品種・大量生産にはロールラベラーであり、高機能・中量生産にはタックラベラーといった具合である。

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